アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは何か、どうしておこるのか

アトピー性皮膚炎とは、
 (1)もともと、遺伝的にアトピー性皮膚炎になりやすい性質の方が、
 (2)日常生活の様々の悪化因子を受けて発病し、慢性的に持続してしまう、
ことによっておこります。

(1)もともと、遺伝的におこりやすい、というのはどういうことかといいますと、
ひとつが、ダニやほこり等のさまざまなアレルゲン(アレルギーのもとになる物質)に対して、過剰に反応を起こす、ということ。
もうひとつが、皮膚のバリア機能が弱く、皮膚が乾燥したり傷ついたりしやすいということです。
実際にどのような遺伝子がこのような状態を起こすのかはわかっていませんが、あるひとつだけの遺伝子がいいとか悪いとかということではなく、いくつかの遺伝子が関係しているようです。したがって、人によって、この人はアトピー素因がある、この人はない、と真っ二つに分かれるわけではありません。アトピー素因が非常に強い人もいれば、ほどほどの人、少しだけある人、などと、その程度は様々です。

(2)日常生活の悪化因子には、いろいろなものがあります。
一番有名なのはダニやホコリが肌についてアレルギーを起こすことですが、そのほかにも花粉や、動物の毛、ゴキブリの糞、などいろいろなものがアレルゲンになります。 衣類を扱う職場や、ダンボールを扱う職場では、それらの微細なくずがアレルゲンになりますから、換気をかなりしっかり行わないとなかなか症状が治まらない、ということになります。
また、健康な人の肌についたアレルゲンが反応を起こすまでには24-48時間の時間が必要ですので、その間に入浴してアレルゲンを洗い流せばよいわけですが、乾燥などでバリヤーの壊れた肌では、1-2時間ほどでアレルゲンが皮膚の中に入って反応をおこしてしまいます。したがって、普段からまめにシャワー浴と石鹸による洗浄で皮膚を清潔に保ち、その上でスキンケアを行って保湿をしっかりとしていくことが必要です。

では、アトピー性皮膚炎の治療は具体的にどうすれば良いのでしょう?

頭において欲しいのは、アトピー性皮膚炎と一口に言っても、もともとの遺伝的素因の強弱は様々ですから、すべての人が同じように治療をすればいいというわけではないということです。

まず、中等度以下の症状の人(この範疇に入る方がほとんどですが、)は一般的な治療をなさるべきでしょう。 つまり、常識的な範囲でのアレルゲンの除去(掃除をきっちりするなど)をしっかり行い、毎日の入浴と、入浴後のスキンケア(保湿剤を塗るということです)をかかさないこと。湿疹病変が出てきたら、早めにステロイドやプロトピックなどの外用で湿疹を治し、治ったら外用は中止する。痒みが強くなって掻きたくなるような事(飲酒や熱い風呂で温まること)は出来るだけ避けるのと、それでも痒い場合は抗アレルギー剤などの痒み止めを飲むことです。 ほとんどの方は、これで、日常生活をさほど苦にせずに送れるようになるはずです。
そして、そのくらいの状態が治療のゴールだと考えてください。
毎日スキンケアを欠かさないなど、気をつけた生活を送るのは大切ですが、あまりに「早く良くしよう」「完治させよう」等と頑張って、怪しげな民間療法などに頼ってもろくなことはありません。 多少のアトピーがあっても、毎日を充実させて幸せに暮らしている人はたくさんいます。 肝心なのは、仕事でも趣味でも良いですから、何かしっかり打ち込めるものを持って、必要以上に皮膚のことを悩まずにすむようにすることです。

さて、もっと重度のアトピーの方は、どうすれば良いでしょうか。毎日毎日very strongぐらいのステロイドを塗ってもぜんぜん改善しない。全身真っ赤で夜も眠れないほど痒い。
このような方でも、例えば、1週間ほどでも入院すると、かなりしっかりと皮膚症状が改善することが多いのです。おそらく、おうちの環境や、仕事の環境が、アトピーの治癒の邪魔になっているのでしょう。 そうはいっても、病気のために住居や仕事を変えるのは容易なことではありません。ある程度重症化する前に免疫抑制剤やステロイドホルモンの内服を行って症状を抑えていきましょう。

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